ナフサ不足でインクや塗料が消える?住宅設備への影響と早めの交換を考えるべき理由【2026年最新】

ナフサ不足による塗料供給の停滞で、住宅設備や住宅建材にも影響が広がっている様子を表現したイラスト

スーパーで見慣れたお菓子の袋が、突然白黒になっていたら——そんな光景が、2026年の春から現実になっています。

カルビーが「ポテトチップス」などの主力商品のパッケージを白黒2色に切り替えると発表し、多くの人が「なぜ?」と驚いたことでしょう。
その背景にあるのが、「ナフサ不足」と呼ばれる問題です。

ナフサとは、原油を精製する過程で得られる石油化学製品の基礎原料です。
印刷インクの溶剤も、外壁塗装のシンナーも、給湯器の外装樹脂部品も、その出発点はすべてナフサです。

「インクの話は食品メーカーのことで、うちには関係ない」と思う方もいるかもしれません。
しかし、この連鎖はすでに住宅設備の世界にまで到達しています。
給湯器や暖房機器に使われる塗料・樹脂部品・配管材の多くが、ナフサ由来の化学製品だからです。

この記事では、ナフサ不足がなぜインク・塗料不足を招くのか、そして住宅設備の交換・設置にどのような影響が出ているのかを整理し、今どう動くべきかを考えていきます。


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松本

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目次

ナフサとは何か?インクや塗料と何の関係があるのか

ナフサのイメージイラスト

「石油化学製品の親」であるナフサ

ナフサ(粗製ガソリン)は、原油を精製する過程で得られる透明な液体です。
ガソリンや灯油と似た性質を持ちますが、燃料として使われるのではなく、石油化学工場で「エチレン」「プロピレン」「ブタジエン」などの基礎化学品へと熱分解されます。

これらの基礎化学品がさらに加工されることで、私たちの身の回りにあるプラスチック、合成ゴム、合成繊維、塗料、接着剤、シンナーなど、数え切れないほどの製品になります。

ナフサ → 基礎化学品 → 身近な製品への変化(主な例)

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ナフサ由来の化学品最終的になる製品
エチレン→ポリエチレン食品容器・ビニール袋・配管材(PVC)
プロピレン→ポリプロピレン日用品容器・家電の樹脂部品
ブタジエン→合成ゴムパッキン・防振材
ベンゼン→溶剤類塗料用シンナー・印刷インク溶剤
アクリル酸系化合物塗料・接着剤・コーキング材

なぜ2026年にナフサが足りなくなったのか

2026年2月末、中東情勢の緊迫化を背景に、ホルムズ海峡の通航が事実上制限される事態が発生しました。
ホルムズ海峡は世界の原油輸送量の約2割が通過する要衝であり、日本の原油輸入は約9割を中東に依存しています。

この海峡の封鎖は、日本のナフサ供給の大部分が遮断されることを意味しました。
三菱ケミカル・三井化学・出光興産などの大手石化メーカーが次々とエチレン設備の減産を発表し、ナフサを起点とする化学製品の供給が急速に細り始めました。

さらに深刻なのは、備蓄の問題です。
原油は石油備蓄法による国家備蓄の対象ですが、ナフサは「燃料」ではなく「化学原料」として分類されるため、国家備蓄の対象外とされてきました。
「原油はあっても、化学品の材料はすぐに底をつく」という構造的な弱点が、今回露呈したかたちです。


インク不足がポテチの袋を白黒にした仕組み

カラーのポテトチップスの袋が、印刷インク不足の影響で白黒パッケージへ変化している様子を比較したイメージイラスト

ナフサ→溶剤→印刷インクという連鎖

印刷インクには、顔料(色の粒子)を溶かして紙やフィルムに定着させるための「溶剤(有機溶剤)」が不可欠です。
この溶剤の多くが、ナフサを原料とするベンゼンやトルエンなどの化学品から作られています。

ナフサの供給が滞ると、溶剤の生産量が減り、印刷インクメーカーが原料を調達しにくくなります。
インクが品薄になると価格が急騰し、食品・医薬品・出版など幅広い印刷現場に影響が及びます。

ナフサ不足から食品パッケージ変更までの連鎖

中東情勢の緊迫化
 ↓
ホルムズ海峡の通航制限
 ↓
日本へのナフサ輸入が逼迫
 ↓
エチレン生産プラントが減産
 ↓
溶剤・樹脂・顔料の生産量が減少
 ↓
印刷インクが品薄・価格高騰(10〜30%以上)
 ↓
食品パッケージの白黒化・簡素化

2026年5月、カルビーが主力14商品のパッケージを白黒2色に切り替えると発表したことは、こうした連鎖の「見える化」でした。
カラーインクの入手が困難になり、製版コストも含めて企業が対応を迫られたかたちです。
伊藤ハムも同様の変更を検討しているとも報じられており、食品業界全体で今後同様の動きが広がる可能性があります。

塗料・シンナーへの影響も深刻

印刷インクと並んで、建築・製造現場で深刻な影響を受けているのが「塗料」と「シンナー」です。

外壁塗装に使われるシリコン塗料やフッ素塗料自体は存在していても、それを薄めて現場で塗れるようにする溶剤(シンナー)がナフサ不足で出荷制限される事態が起きています。
実際、塗装業者からは「資材が入らず現場を止めざるを得ない」「見積価格が変動しすぎて契約ができない」という声も聞かれます。

「塗料が塗れないと何が困るのか?」と思う方もいるかもしれません。給湯器・暖房機器の製造現場でも同じことが起きています。


住宅設備の塗料・樹脂部品にも波及している

給湯器・暖房機器とナフサの関係

給湯器1台には、外装カバー・配管継手・コントローラーケース・コネクタ類など、多数のプラスチック(樹脂)部品が使われています。
FF式ストーブや灯油ボイラーも同様です。

さらに、製品の外装塗装にも溶剤系塗料が使われています。
三菱電機は2026年4月8日生産分より、エコキュートおよび電気温水器の部品塗料の仕様変更を実施することを販売店・工事店向けに案内しました。
ナフサ由来のシンナーの供給が不安定となったため、既存の塗装と追加塗装を並行して生産する体制に変更するとのことで、部品ごとに色味がわずかに異なる状態で納品される可能性があるとされています(性能・耐震性・据付性への影響なし)。

これは「見た目の問題」にとどまりますが、メーカーが製造工程の変更を余儀なくされるほど、塗料・溶剤の供給が逼迫していることを示す出来事です。

給湯器の価格はすでに上昇している

ノーリツは2026年3月2日受注分から温水機器の希望小売価格を改定(石油給湯器は4月1日受注分から)しており、リンナイも2025年5月より給湯機器を含む幅広い商品で平均4%の価格改定を実施済みです。
これらはホルムズ海峡問題以前から原材料・物流費の高騰を背景に決定されていたものですが、2026年のナフサショックによって今後さらなる価格上昇圧力がかかる可能性があります。

給湯器・暖房機器の価格に影響する主な要因(2026年現在)

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要因影響の内容
ナフサ由来の樹脂部品の値上がり本体価格の上昇圧力
溶剤系塗料・シンナー不足製造工程の変更、仕様制約
配管材(塩ビ管)の値上がり工事費の上昇(12〜20%超値上げ)
断熱材の値上がり工事費全体への転嫁
物流コストの上昇納期の長期化、価格への転嫁

工事に使う配管材・断熱材も値上がりしている

給湯器の本体価格だけでなく、工事費を構成する材料にも影響が出ています。

給湯器の交換工事では、本体の他に配管継手・給排水管・断熱材などの副資材が必要です。
これらはナフサ由来の塩化ビニル樹脂(PVC)やポリエチレンで作られており、信越化学工業・積水化学などの大手メーカーが2026年4月以降に12〜20%超の値上げを実施しています。
断熱材(ポリスチレンフォーム)は40%超の値上げを発表したメーカーもあります。

「本体は前と同じ金額のはずなのに、工事費の見積もりが上がっていた」という経験をされた方がいれば、こうした副資材価格の上昇が主な要因の一つと考えられます。


北海道・寒冷地の住宅設備はなぜ特に影響を受けやすいのか

雪に覆われた北海道の冬景色。白銀の山々と広大な雪原、雪道沿いの家屋や木々が並び、厳しい寒さと雄大な自然を感じさせる風景

暖房設備への依存度が高い

北海道のご家庭では、本州の住宅に比べて暖房設備への依存度が格段に高いのが特徴です。
灯油FFストーブ・セントラルヒーティング・灯油ボイラー・ガス給湯暖房機——これらは冬期間の生活インフラそのものです。

これらの機器には樹脂部品・配管材・外装塗料が多数使われており、いずれもナフサ由来の素材が使われています。
「今すぐ使えなくなる」という段階ではないものの、交換・修理の際に必要な部品・材料の調達が困難になるリスクは、今後も続く可能性があります。

冬前に動けなくなるリスクが高い

北海道では、暖房機器が壊れると文字通り「生命に関わる」事態になりかねません。
11月以降の厳冬期に給湯器や暖房機器を急いで交換しようとしても、
在庫不足・納期遅延で対応できない——という状況は、以前のコロナ禍の給湯器不足でも経験した方がいるかもしれません。

2026年の現状は、そのリスクにナフサ由来の素材・部品不足という新たな要因が加わった状況です。
「壊れてから考える」のではなく、「まだ動いているうちに計画的に」という発想が、寒冷地では特に重要です。

FF式給湯器・暖房機器は屋内設置が基本

札幌をはじめとする北海道の住宅では、給湯器や暖房機器はFF式(強制給排気式)で室内に設置されているケースがほとんどです。
本体は外気にさらされないため屋外設置機器のような物理的なダメージは受けにくいですが、だからこそ「10年以上問題なく動いているから大丈夫」と思い込みやすい面もあります。

実際には、設置から10年を超えると内部部品の摩耗が進み、エラーが増えやすくなります。
交換が必要になったときに在庫・資材・工事枠がスムーズに確保できるかどうかは、現在のような不安定な供給環境では保証できません。


「インクの白黒化」と「給湯器の交換」は、同じ問題の別の顔

ナフサ不足が住宅設備に波及する経路

カルビーのポテトチップスの袋が白黒になった理由と、給湯器や暖房機器の交換費用が上がりつつある理由は、同じ根っこを持っています。

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現象原因
食品パッケージが白黒化ナフサ不足→印刷インク用溶剤が不足
外壁塗装の工事が遅れるナフサ不足→シンナー(塗料溶剤)が不足
給湯器の外装塗装仕様が変更ナフサ不足→溶剤系塗料・シンナーが不足
給湯器・配管工事費が上がるナフサ不足→樹脂部品・塩ビ管が値上がり
浴室(ユニットバス)の受注停止ナフサ不足→有機溶剤・接着剤が調達困難

食品パッケージの変化は目に見えるのでわかりやすいですが、住宅設備への影響は「見えにくい」だけで、確実に進行しています。

価格は下がらない可能性が高い

「今は高いけど、情勢が落ち着けば元の価格に戻るだろう」と考える方もいるかもしれません。
しかし、過去のウッドショック(木材価格高騰)などの経験を振り返ると、一度高騰した資材価格が以前の水準に完全に戻ることは稀です。
中東からの調達が正常化したとしても、輸送ルートの変更・代替原料へのシフト・国内備蓄強化のコストなどが価格に反映され、「構造的な高止まり」となる可能性があります。

「今が一番安い」とは限りませんが、「交換を先送りするほど、将来の費用が増える可能性がある」という構図は、現在の環境では現実的なリスクとして存在しています。


設備の交換を検討すべき目安

住宅設備の交換を検討しながらキッチンや浴室、トイレ設備のカタログを見る夫婦のイメージイラスト

こんな場合は早めの相談を

以下に当てはまる方は、壊れる前に一度点検・見積もりの相談をしておくことをお勧めします。

早めに動いておいたほうがよいケース

  • 設置から10年以上が経過している給湯器・ボイラー・FF式ストーブ
  • エラーコードが頻繁に出るようになった
  • 点火に時間がかかる・不安定な燃焼が見られる
  • お湯の出が弱くなった・温度が安定しない
  • 異音・振動が増えた
  • 修理を繰り返しているが、また別の箇所が壊れた

一般的に給湯器・暖房機器の耐用年数は約10年程度とされています。
10年を超えた機器が万が一の故障を起こしたとき、「部品が手配できない」「在庫がない」「工事の順番待ちで数週間先になる」という状況は、特に厳冬期の北海道では深刻なリスクになります。

急がなくてよいケース

一方で、以下のような場合は必ずしも急ぐ必要はありません。

  • 設置から5年以内で、特に不具合がない
  • 10年以内で、エラーも異音もなく安定して使えている
  • 最近交換したばかり


現時点で問題がなければ、まず点検だけでも受けておくと状態の把握ができるでしょう。


よくある質問(FAQ)

Q1. ナフサ不足の影響で、給湯器はすぐに品切れになりますか?

A. 2026年5月時点では、給湯器(ガス給湯器・エコジョーズ)について、メーカーから大規模な受注停止の公式発表は確認されていません。ただし、価格の上昇や一部モデルの納期の長期化は続いており、状況は流動的です。ユニットバスなど有機溶剤の使用量が多い製品では一時的な受注停止が発生した経緯もあり、今後の動向は引き続き注視が必要です。設置から10年以上が経過している機器をお使いの方は、在庫状況の確認を兼ねて早めに相談しておくのが安心です。

Q2. 給湯器の外装の色が変わると聞きましたが、性能は大丈夫ですか?

A. 三菱電機がエコキュート等の部品塗装の仕様変更を2026年4月より実施していますが、同社の案内によると性能・耐震性・据付性への影響はないとされています。ナフサ由来の溶剤系シンナーの調達が困難になったことによる対応で、部品ごとに色味がわずかに異なる場合があるものの、機器の機能上の問題はありません。メーカーや機種によって状況は異なりますので、詳細は各メーカーの最新情報をご確認ください。

Q3. 給湯器の交換は今が良いタイミングですか?急ぐ必要はありますか?

A. 一概には言えませんが、設置から10年以上が経過していてエラーが出始めている・燃焼が不安定などの症状があれば、早めに動いておくことをお勧めします。現在は資材の値上がりや納期の不安定化が続いており、「壊れてから急いで交換」では選択肢が狭まる可能性があります。一方、5〜8年以内で特に問題なく使えている機器は、急ぐ必要は必ずしもありません。まずは現状の点検・見積もりだけでも相談してみるのが、余裕ある判断につながります。

Q4. 工事費が上がっているのはなぜですか?

A. 給湯器本体の価格だけでなく、工事に使う配管材(塩ビ管)・断熱材・継手などの副資材も、ナフサ不足の影響で値上がりしています。信越化学工業・積水化学などの大手メーカーが2026年4月以降に配管材を12〜20%超値上げしており、断熱材は40%超の値上げを発表したメーカーもあります。これらは工事費に転嫁されるため、見積金額が以前と異なるケースがあります。

Q5. 北海道で灯油の暖房機器を使っていますが、ナフサ不足と灯油価格は関係しますか?

A. 直接の関係は異なりますが、ホルムズ海峡の通航制限は原油の輸入全体に影響するため、灯油価格にも上昇圧力がかかっています。ナフサ不足は「化学原料としての石油製品」への影響が主ですが、エネルギー全体の調達環境も不安定な状況が続いています。灯油暖房機器をお使いの方は、機器の状態確認とともに、光熱費の動向にも注意を払っておくことをお勧めします。

まとめ|見えないところで進む「素材の連鎖」を知っておく

ナフサ不足による塗料供給の停滞が、住宅設備や住宅建材へ影響している様子を表したイメージイラスト

2026年の春、スーパーのお菓子の袋が白黒になったのは、ナフサ不足→印刷インク溶剤不足という連鎖の「見える形」でした。

同じ連鎖が、住宅設備の世界でも静かに進行しています。

  • 給湯器・暖房機器の外装塗料仕様が変更されている
  • 工事に使う配管材・断熱材が値上がりしている
  • 機器本体の価格にも上昇圧力がかかっている
  • 納期が長期化するリスクがある

北海道のご家庭にとって、給湯器や暖房機器は「あって当たり前」のインフラです。
だからこそ、故障してから慌てるのではなく、まだ動いているうちに状態を把握し、必要であれば早めに動いておくことが安心につながります。

インクが白黒になったポテトチップスの袋は、「今の資材調達がいかに不安定か」を私たちに教えてくれる、身近なサインです。
住まいの設備も、同じ問題の延長線上にある——そのことを念頭に置いておくだけで、いざというときの判断が変わるかもしれません。


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所在地札幌市清田区北野3条2丁目3-7-1F
代表者松本晃
設立2023年1月
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