給湯器のエラー90とは?原因は雪・凍結による給排気閉塞|寒冷地で多い事例と正しい対処法

住宅の屋根に大量の雪が積もり、軒先からせり出すように雪庇が形成されている様子を、青空を背景に捉えた冬の住宅外観イメージ。

真冬に給湯器が停止し、リモコンに「90」と表示される。
この状況でまず考えるべきは、機器の故障ではありません。

寒冷地におけるエラー90の多くは、雪や凍結によって給排気が一時的に妨げられた結果、給湯器が安全停止している状態です。
実際の現場でも、部品交換や修理が必要になるケースは少なく、設置環境の影響によって一時的に運転できなくなっている例が大半を占めます。

発生のきっかけになりやすいのは、大雪の翌朝や強風を伴う降雪のあと、夜間に気温が大きく下がったタイミングです。
こうした条件下では、屋根から張り出した雪庇(せっぴ)が給排気トップを覆う、吹き溜まりによって排気口が埋まる、排気中の水分が凍結するといった現象が短時間で起こります。

給排気の流れが乱れた状態で運転を続けることは、不完全燃焼や排気滞留につながるおそれがあります。
そのため給湯器は、異常を検知した時点で安全装置を作動させ、運転を停止します。
その結果として表示されるのが、エラー90です。

ただし、給排気が妨げられる要因は一つではありません。寒冷地では、雪の付き方や風の影響、凍結の起こり方によって、閉塞の状況が大きく変わります。
そこで次に、真冬にエラー90が発生しやすい具体的な原因を整理していきます。


目次

給湯器エラー90の意味|給排気異常を検知した安全停止

壁面に取り付けられた給湯設備のリモコン操作パネル。黒い表示画面の下に「運転入切」「通話」「追いだき」「ふろ自動」と書かれたボタンが並び、浴室用リモコンであることが分かる構成。

エラー90は、給湯器が給排気の状態に異常があると判断し、運転を継続できないときに表示される安全停止エラーです。
部品の故障を示す表示ではなく、燃焼を続けることで危険が生じる可能性がある場合に、機器側が自動的に停止します。

給湯器は運転中、

  • 外から燃焼に必要な空気を取り込む(給気)
  • 燃焼後に発生した排気ガスを屋外へ排出する(排気)

という流れが常に正常に成立しているかを監視しています。

この給排気の流れが乱れると、

  • 排気ガスが機器周辺に滞留する
  • 排出した空気を再び吸い込んでしまう

といった状態が発生します。
このような状況では、燃焼に必要な酸素が不足しやすくなり、不完全燃焼や一酸化炭素発生のリスクが高まります

給湯器はこうした危険を未然に防ぐため、給排気の異常を検知した時点で燃焼を停止し、安全装置を作動させます。
その結果として表示されるのが、エラー90です。

つまりエラー90は、
「異常が起きているから止まった」のではなく、「異常が起きる可能性があるため止まった」
という性質のエラーであり、寒冷地では雪や凍結などの外的要因によって発生するケースが多く見られます。


寒冷地でエラー90が多発する主な原因

建物の外壁を正面から撮影した様子。屋根の縁に雪が大きく張り出し、雪庇が形成されている状態で、外壁には複数の給排気口が設置されているのが確認できる。

雪庇による給排気トップの閉塞

屋根から張り出した雪庇(せっぴ)が、給排気トップの上部や周囲を覆ってしまうケースです。
寒冷地では、屋根形状や落雪の仕方によって、給排気トップの真上に雪庇が形成されやすい環境が少なくありません。

完全に給排気トップが塞がれていなくても、

  • 排気した空気がそのまま周囲に滞留する
  • 排気と給気が近い範囲で循環してしまう
  • 新鮮な外気を十分に取り込めない

といった状態になると、給湯器は正常な燃焼ができないと判断します。

このような場合、見た目では「少し空いている」「完全には塞がれていない」ように見えることも多く、雪庇の影響に気づきにくい点が特徴です。
結果として給排気異常が検知され、エラー90が表示されます。


吹き溜まりによる排気口の埋没

風の影響を受けやすい場所では、排気口まわりだけに雪が集中して積もることがあります。
これは、建物の形状や周囲の壁、フェンスなどによって風の流れが変わり、吹き溜まりが発生するためです。

このケースでは、

  • 排気口の正面は見えている
  • 周囲にある程度の隙間もある

と感じられることがありますが、排気口の内部や直下に雪が入り込んでいると、給排気不良と判断されます。

特に、夜間の降雪と風が重なった翌朝は、
「前日は問題なく使えていたのに、朝になって突然エラー90が出た」
という状況が起こりやすくなります。


給排気部の凍結

排気中に含まれる水分が冷え込み、給排気部や排気筒の内部で凍結するケースです。
外気温が低い寒冷地では、決して珍しい現象ではありません。

湿った雪が降ったあとや、日中に気温が上がって夜間に急激に冷え込んだ朝などは、

  • 排気口周辺
  • 給排気トップの内部
  • 排気筒の先端部分

に氷が付着しやすくなります。

凍結が進むと、排気の通り道が狭くなり、給湯器は給排気異常を検知します。
その結果、安全装置が作動し、エラー90が表示されます。

エラー90が出たときに確認できる対処ポイント

室内設置されたガス給湯器の本体外観。壁掛け状態で、前面に操作部と複数の注意喚起ラベルが貼付されている。

給排気部周辺の目視確認

エラー90が表示された場合、まず行うべきなのは給排気部周辺の状況確認です。
ただし、作業は必ず地上から無理なく確認できる範囲に限ります。

確認するポイントは次のとおりです。

  • 給排気トップが雪で覆われていないか
  • 給排気部や排気口に氷が付着していないか
  • 周囲に吹き溜まりができ、排気の逃げ場が塞がれていないか

特に降雪後は、給排気トップの正面だけでなく、上部や周囲に雪が回り込んでいないかも確認します。
見た目に少し隙間があっても、内部に雪や氷が入り込んでいると給排気異常と判断されることがあります。


雪・氷が原因の場合の対応

原因が雪や氷であると判断できる場合は、安全を確保したうえで、手の届く範囲のみ対応します。

  • 給排気部周辺に積もった雪を取り除く
  • 表面に付着した氷を無理のない範囲で割る
  • 給排気トップの周囲に空間を確保する

これらの対応だけで、給排気の流れが回復し、エラーが解消されるケースも少なくありません。

ただし、工具を使って叩く、無理にこじるといった作業は、部品破損や事故につながるおそれがあります。
少しでも危険を感じる場合は、その時点で作業を中止する判断が重要です。


点火操作を数回試す

雪や氷の除去後は、点火操作を数回試します。
排気筒内部に付着していた氷雪がわずかに溶け、給排気の流れが回復することで正常に運転できるようになる場合があります。

一方で、

  • 点火してもすぐに再びエラー90が出る
  • 何度試しても改善しない

このような場合は、給排気の閉塞が完全に解消されていない可能性が高いと考えられます。
無理に繰り返し操作を続けず、次の判断に進むことが必要です。


高所作業は厳禁|エラー90対応で最も注意すべき点

エラー90への対応は地上から手が届く範囲での確認と除雪に限られます。
それを超える作業、特に高所での対応は行うべきではありません

雪庇の除去や、屋根付近・壁面高所に設置された給排気トップの確認作業には、

  • 足場が不安定な状態での転落
  • 雪庇や屋根雪の落下による巻き込まれ事故
  • はしごの滑落や転倒

といった、給湯器トラブルとは比較にならない重大事故のリスクが伴います。

「お湯が使えない」「早く直したい」という状況ほど判断を誤りやすく、
無理な作業によって事故につながる例は、実際の現場でも少なくありません。

給排気トップが手の届かない位置にある場合や、屋根付近に雪庇が形成されている場合は、その時点で個人対応の範囲を超えています

このようなケースでは、自分で解決しようとせず、設備業者に依頼する判断が最優先となります。
安全を確保することが、結果的に最も早く、確実な解決につながります。


FAQ(よくある質問)

Q1. 給湯器のエラー90は故障ですか?

エラー90は、部品の故障を示す表示ではありません。
多くの場合、雪や凍結によって給排気が一時的に妨げられたことを検知し、事故を防ぐために給湯器が自動停止している状態です。特に寒冷地の真冬では、設置環境による発生が大半を占めます。


Q2. 雪をどかせば必ず直りますか?

給排気部まわりの雪や氷が原因であれば、地上から手の届く範囲の除雪や氷の除去によって改善するケースもあります。ただし、完全に閉塞が解消されていない場合や、高所に原因が残っている場合は、再びエラー90が表示されることがあります。


Q3. 何度か点火を試しても大丈夫ですか?

雪や氷を取り除いたあとに数回点火を試すこと自体は問題ありません。ただし、何度操作してもエラー90が繰り返し表示される場合は、給排気の閉塞が解消されていない可能性が高いため、無理に操作を続けるべきではありません。


Q4. エラー90を放置しても問題ありませんか?

一時的な雪や凍結が原因であれば、環境が改善することで自然に復旧する場合もあります。ただし、給排気が妨げられた状態での運転は安全上望ましくないため、エラーが表示されたままの状態を放置することは推奨されません。原因を確認し、必要に応じて対処や業者対応を行うことが重要です。


Q5. 自分で対応してはいけないケースはありますか?

給排気トップが手の届かない位置にある場合や、屋根付近に雪庇が形成されている場合は、自分での対応は危険です。このようなケースでは、転落や落雪などの事故リスクが高くなるため、設備業者に依頼する判断が最優先となります。

まとめ:真冬のエラー90は「故障」より「雪・凍結」を疑う

建物外壁の上部を撮影した様子。屋根の縁に厚く積もった雪が張り出し、雪庇が形成されており、外壁には給排気口や配管が設置されている状態。

寒冷地の真冬に給湯器でエラー90が表示された場合、最初に確認すべきなのは、雪庇・吹き溜まり・凍結による給排気の閉塞です。

エラー90は、部品の不具合を示す表示ではなく、
給排気の異常を検知した給湯器が、事故を防ぐために自ら運転を停止している状態を意味します。

給排気部まわりの雪や氷が原因であれば、
地上から手の届く範囲の除雪や氷の除去によって、改善するケースも少なくありません。

一方で、

  • 給排気トップが高所にある
  • 屋根付近に雪庇が形成されている
  • 対処してもエラー90が繰り返し表示される

このような場合は、個人で対応できる範囲を超えています
無理な作業は避け、設備業者に依頼する判断が、安全面・確実性の両面で適切です。

真冬のエラー90は、「壊れた」と焦る前に、設置環境と給排気の状態を冷静に確認することが、最も重要な対応になります。

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監修者情報

ルーム・テック・ラキア代表

北海道・札幌近郊の暮らしをよく知る地域密着の設備工事屋。一件一件のお客様に対して、顔が見える誠実な対応と、わかりやすく丁寧な施工を心がけています。
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